
こんにちは、奥田です。
この記事でわかること
・オルソケラトロジーの仕組みと、近視の進行を抑える効果
・適正のある人の目安と、費用・毎日のケアの考え方
・装用を中止した場合にどうなるか
「メガネやコンタクトを毎日つけたり外したりが大変」「スポーツのときに裸眼で過ごしたい」「子どもの近視の進行も一緒に抑えられないか」 こうしたご相談を保護者の方や働き世代の方から数多くいただきます。オルソケラトロジーは、そうした悩みに応える選択肢のひとつです。この記事では、仕組み・効果・費用・ケア・やめたときの変化までを一度に整理してお伝えします。

オルソケラトロジーとはどんな治療ですか?
就寝中に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用し、角膜(目の表面の透明な組織)の形を一時的に整えることで、日中は裸眼に近い状態で過ごすことを目指す治療です。
レンズを外したあとも角膜の形がしばらく保たれるため、朝レンズを外してから日中いっぱいは、メガネやコンタクトなしで見えやすい状態が続きます。ただし効果は一時的なもので、装用をやめれば角膜の形は元に戻ります。手術のように角膜を削る治療ではなく、レンズの力で形を「整える」治療である点が特徴です。 オルソケラトロジーについてはこちら
近視の進行を抑える効果はありますか?
日中の見え方を改善するだけでなく、子どもの近視の進行を抑える効果も期待されています。
近視が進むと、眼球が後に長く伸びます(この奥行きを「眼軸長(がんじくちょう)」といいます)。
眼軸長が伸びるほど近視は強くなり、将来の目の病気のリスクにもつながると考えられています。香港で行われた臨床試験(ROMIO研究)では、オルソケラトロジーを装用した6〜10歳の子どもの眼軸長の伸びが、装用しなかった子どもと比べて約4割抑えられたと報告されています。つまり、日中の裸眼生活と近視進行の抑制を両立できる可能性がある治療です。
どんな人に適していますか?
一定範囲の近視度数の方が対象で、特に近視が進みやすい学童期のお子さんに向いています。
奥田眼科では、角膜の形状(角膜形状解析)や眼軸長などを検査したうえで、近視の程度・目の状態・生活スタイルに合うかどうかを丁寧に確認してからご案内しています。スポーツをするお子さんや、日中メガネをかけたくない方にも選ばれています。
一方で、活動性の角膜感染症やドライアイが強い方、角膜の形が治療に適さない方など、装用をおすすめできないケースもあります。オルソケラトロジーは、日本眼科学会のガイドラインに沿って、リスクの十分な説明と同意を得たうえで処方する治療です。
費用はどのくらいかかりますか?
オルソケラトロジーは公的医療保険の対象外(自由診療)です。総額は、次のような項目の組み合わせで決まります。
- 適応検査:治療に適しているかを確認する初期検査
- テスト装用(トライアル):実際にレンズを装用して効果(見え方)や装用感を確かめる期間
- レンズ本体: 1人ひとりの角膜に合わせて選ぶ専用レンズ
- 定期検査:装用開始後、目の状態を定期的に確認する費用
これらの内訳や具体的な金額は、目の状態や治療計画によって異なります。奥田眼科では診察時にご案内していますが、費用が気になる方はお気軽にお尋ねください。
毎日のケアはどうすればいいですか?
難しいお手入れはありませんが、毎日の洗浄・消毒を正しく続けることが、安全に使い続けるための最も大切なポイントです。
オルソケラトロジーは就寝中に装用するため、レンズの汚れや細菌が残っていると、角膜のトラブルにつながることがあります。奥田眼科では、お子さんとご家族に、レンズの洗い方・保存方法・装用時間の目安を丁寧にお伝えし、ご家庭で無理なく続けられるようサポートします。少しでも見え方や目の状態に違和感があるときは、装用を中止してご相談ください。
注意すべきリスクはありますか?
取り扱いを正しくしていただければ問題なくご使用いただけますが、正しいケアをしていただけないと、角膜感染症などのリスクがあります。日本眼科学会のガイドラインでは、装用前の十分な説明と同意、レンズの正しい洗浄・消毒の徹底が推奨されています。奥田眼科では、定期検査で角膜の状態を確認しながら経過を見守ります。定期検査を欠かさず受けていただくことが、トラブルの早期発見と予防につながります。
装用をやめるとどうなりますか?
オルソケラトロジーは近視そのものを治す治療ではありません。装用をやめると角膜の形状も見え方も数日〜数週間かけて徐々に元の状態に戻ります。「治療をやめたら見えなくなった」わけではなく、もともとの近視の状態に戻るということです。この点は治療を始める前に正しくご理解いただきたい、大切なポイントです!
他の近視対策とはどう違いますか?
近視への対応にはいくつかの選択肢があり、それぞれ目的や特徴が異なります。
|
方法 |
日中の見え方 |
近視進行の抑制 |
特徴 |
|
オルソケラトロジー |
裸眼に近い状態 |
期待される |
就寝中に装用。やめると元に戻る |
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メガネ・コンタクト |
装用時のみ矯正 |
目的としない |
手軽だが日中の装用が必要 |
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低濃度アトロピン点眼 |
矯正はしない |
期待される |
就寝前の点眼。メガネと併用 |
どの方法が合うかは、年齢・近視の程度・生活スタイルによって異なります。奥田眼科では、検査結果をもとにお子さんに合った選択肢を一緒に考えます。(一般的な矯正用コンタクトレンズは処方できません)

よくある質問(FAQ)
* 何歳から始められますか?
年齢の制限はありませんが、一般的に学童期のお子さんが対象です。近視が進みやすい時期に始めるほど進行抑制の面でメリットが期待できますが、開始時期はお子さんの状態によって異なります。まずは検査でご相談ください。
* 効果はどれくらいで出ますか?
多くの場合、装用を始めて1〜2週間ほどで日中の見え方が安定してきます。個人差があるため、テスト装用の期間に見え方を確認しながら進めます。
* レンズのお手入れは難しいですか?
難しいお手入れはありませんが、毎日の洗浄・消毒が必要です。奥田眼科では、お子さんとご家族に正しいケア方法を丁寧にご説明し、続けやすいようサポートします。
* メガネやコンタクトと併用できますか?
できます。装用しない日や見え方が戻ってきたときは、メガネでの矯正が必要になる場合があります。生活スタイルに合わせてご提案します。
* 大人でも受けられますか?
はい。一定の条件を満たせば大人の方も対象になります。ただし年齢や近視の程度によって適応が異なるため、検査で確認します。
まとめ
オルソケラトロジーは、特殊なコンタクトレンズを就寝中に装用することで「日中の見え方」と「子どもの近視進行の抑制」の両立を目指せる治療の選択肢です。一方で、装用をやめれば元の状態に戻ること、毎日のケアと定期検査が欠かせないことも、正直にお伝えしたうえでご案内しています。オルソケラトロジーが気になる方は、奥田眼科までお気軽にご相談ください。
参考文献
- Cho P, Cheung SW. Retardation of Myopia in Orthokeratology (ROMIO) Study: A 2-Year Randomized Clinical Trial. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2012;53(11):7077-7085. https://doi.org/10.1167/iovs.12-10565
- Cho P, Cheung SW. Protective Role of Orthokeratology in Reducing Risk of Rapid Axial Elongation: A Reanalysis of Data From the ROMIO and TO-SEE Studies. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2017;58(3):1411-1416. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28253404/
- 日本眼科学会. 『オルソケラトロジーガイドライン(第2版)』. 装用適応・感染対策に関する推奨事項. https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=310&dispmid=909
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状には個人差があります。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。
記事監修:奥田吉隆(日本眼科学会認定眼科専門医)


